こんにちは、atabowsです。
現在、atabowsは高リスク資産投資のカテゴリーにて、FXのスワップ運用とFX・CFDのリピート運用を行っています。
2006年にFXを始めてから20年が経ち、試行錯誤の末2022年から現在のスタイルに落ち着きました。各運用スタイルの投資方針やKPIについては、別のブログで詳しく解説しています。
本ブログのメインであるFX・CFDは、趣味と実用を兼ねた運用です。今後、労働収入からの資金投入は予定していません。労働収入から確保した資金は、老後の生活資金やサイドFIREやバリスタFIREといったナントカFIRE(atabowsはxFIREと呼んでいます)用の投資に充てていきます。
本シリーズでは、xFIRE後の生計の立て方、とりわけ 「合同会社を設立するかどうか」 をテーマに、個人運用と法人併用の違いを社会保険・税金の観点から比較していきます。
なお、合同会社を設立する目的は節税の最適化がすべてではなく、”何か新しいことに挑戦してみたい”という想いも背景にあります。この辺りについては、また別のブログでお話ししたいと思います。

というわけで、今回は『なぜ合同会社を設立する? ~個人と法人による社会保険料と税金の比較~』について報告します。
前提条件が旧設定のバージョンは『ver.0』『ver.1』『ver.2』版をご参照ください。
本稿の目的は以下となります。
- xFIRE後の生計の立て方を考える
- FX/CFDによる収入を個人で取得する場合と法人と個人で併用する場合で支出面を比較する
関連する記事に関しては、以下のリンクを参照してください。
それでは、本稿の目次は以下となります。
はじめに
xFIRE後の生計をどう築くか──これは、65歳からの公的年金受給開始までの期間において、収入や資産の取り崩しによって生活を維持するという課題です。
atabowsは、メインブログでも報告している通り、FX/CFD運用によって一定のフロー収入を得ることができていますので、まずはそれが主たる収入源になります。
ただし、社会保険料や税金の扱いについては、退職後に知識がないまま「国民健康保険」や「国民年金」に加入するケースが多く、想像以上の支出につながることがあります。atabows自身も、当初はその影響を正しく理解していませんでした。
そんな折に思い出したのが、橘玲氏の著書『お金持ちになれる黄金の羽の拾い方2015』でした。読了当時は内容を完全に理解できたとは言えませんが、それでも「退職後に法人を設立してみたい」という漠然とした想いが芽生えるきっかけとなった一冊でした。
その後、xFIREというライフスタイルに真剣に向き合うようになり、同書を再読したことで「退職後にもさまざまな挑戦をしてみたい」という気持ちがより一層強まりました。そして、それらの挑戦を受け止める「器」として、合同会社の設立を現実的な選択肢として考えるようになったのです。
そこで、今回はxFIRE後の主たる収入源としてのFX/CFD収益を、「個人収入」として扱う場合と、「合同会社を設立して法人収入」として扱う場合について比較検討を行っていきたいと思います。
合同会社を設立するメリット・デメリット
まずは、世間一般的に言われている合同会社を設立するメリット・デメリットについてです。
FX/CFDの運用を「合同会社(法人)」と「個人(雑所得)」で併用する場合のメリット・デメリットについてAIで調べてみると、以下のような内容に集約されます。
メリット
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 節税 | 法人では損益通算や損失の繰越(10年)が可能。法人税率も低め(所得800万円以下なら実効税率約23.2%)で、課税コントロールがしやすい |
| 経費計上の幅 | 個人より法人の方が経費計上できる範囲が広い(書籍、PC、ネット回線、事務所家賃、家族への給与など) |
| 家族への報酬 | 合法的に家族(配偶者・子)へ役員報酬・給与を支払い、所得分散による節税が可能。配偶者は3号被保険者にもできる |
| 社会保険 | 社会保険(厚生年金・協会けんぽ)に加入できれば、老後の年金給付が増える。一定条件で家族も扶養に入れられる |
| 信用力の向上 | 法人名義で口座やクレジット、リース契約を取得でき、社会的信用が上がる。将来的な資産管理法人にも展開可能 |
| 資産保全 | 個人資産と法人資産を分けることで、リスク分散や相続・贈与の工夫がしやすい |
デメリット
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 手間・コスト | 法人設立や維持には登記・税理士費用・事務コスト(決算・申告など)がかかる。個人だけなら不要な手続きが増える |
| 社会保険料の負担 | 厚生年金・協会けんぽに加入する場合、売上が少ない場合でも高額な保険料が発生する(月額報酬5万円でも月2万超) |
| 法人では損失通算不可 | 法人で出した損失は個人所得と損益通算できない。利益が偏ると逆に税負担が増える可能性がある |
| 名義の混在に注意 | 法人口座・取引・経費を厳密に分離しないと、税務調査で否認されるリスクがある。証券会社の法人口座開設も厳しい場合あり |
| 税務調整が難しい | 雑所得(個人)と法人所得の組み合わせでは、最適な分配調整が年次ごとに難しく、税務上の検討が必須 |
インターネット上で調べると「法人口座であれば高レバレッジ取引が可能」といったメリットも挙げられていますが、atabowsは低レバレッジでの安定運用を志向しているため、この点については該当しません。
それ以外の一般的に語られるメリット・デメリットについては、atabowsにとっての目的――すなわち、生計を立てるための仕組みづくりとしての法人設立――におおむね重なっていると感じています。
前提条件
前提条件
今回のシミュレーションを行うにあたり、設定した前提条件は以下の通りです 。
- 家族構成(26年8月17日時点)
- atabows(本人、52歳、会社員)
- ginko※1(配偶者、51歳、3号被保険者)
- haruta(長女、22歳。扶養家族外)
- yuka※2(長男、19歳、同居の扶養家族)
- atabowsは28年3月で会社を退職し、28年4月より独立と仮定
- 収入条件
- 世帯の目標として「国保税引後の実質的な生活費として月額50万円」の確保を目指す
- 家族はatabowsの扶養範囲内でアルバイト収入のみ(アルバイト収入は上記50万円に含まず)
- 運用資産(合計2,500万円)
| 種類 | 元本 | 月利 |
|---|---|---|
| スワップ系(FX) | 1,400万円 | 3.6% |
| リピート系(FX) | 100万円 | 2.5% |
| リピート系(CFD) | 900万円 | 2.5% |
| 予備費 | 100万 | 非稼働 |
注)※1:扶養に入る想定だが、試算は安全サイドとして「扶養に入れない」前提で試算
※2:同居の扶養家族だが、今回の試算対象外
- 再投資ルール
- 毎月の利益の 10% を再投資プールへ
- FXのスワップは「未決済なら課税されない」ため、スワップ系は 90%課税
- FXおよびCFDのリピートは値洗いで損益確定するため、リピート系は 100%課税
以上の前提条件に基づき、 法人併用・個人運用・個人運用で月50万円達成の3ケース を比較し、最適な選択肢を考えていきます。
試算結果(サマリー)
それぞれのケースの詳細に入る前に、サマリー(結論)を整理しておきます。
| ケース | 必要資産 | 月額手取り | 年額手取り |
|---|---|---|---|
| ①法人併用 | 2,500万円 | 50.3万円 | 603.4万円 |
| ②個人運用 | 2,500万円 | 40.4万円 | 485.9万円 |
| ③個人運用で50万円達成 | 3,017万円 | 50.0万円 | 600.0万円 |
ケース①の法人併用の場合、目標の手取り月額50万円を達成できる見込みです。
いっぽう、合同会社を作らずCFD利益もすべて個人口座(雑所得・申告分離課税)で受け取った場合(ケース②)、社会保険は「国民健康保険」と「国民年金」に強制加入となります。 ここで見落とせないのが、申告分離課税を選択したFX/CFDの所得であっても、国民健康保険税の算定においては「総所得金額等」に算入されてしまうという点です。今回の規模の利益があると国保の所得割によって、一発で国保の年間賦課限度額(年間上限:約113万円)に到達してしまいます。さらに国民年金も夫婦2人分が全額のしかかるため、年収ベースで100万円近い差が生まれてしまいます。
試算結果(ケース①:合同会社を設立して個人と併用する場合)
ここからは、各ケースの具体的なシミュレーション結果の内訳を整理していきます。
まずは、合同会社(法人)を設立して個人と併用するケース(法人併用)です。
試算結果
1. 法人会計(年額)
- 法人総収入(CFD運用益): 2,700,000円 (9,000,000 x 2.5%/月 x 12ヶ月)
- 損金(経費)内訳:
- 会社運営費(サーバー、旅費、消耗品等):600,000円
- 役員報酬(atabows:月10万):1,200,000円(社会保険料控除後の手取り:1,024,668円)
- 役員報酬(ginko:月5万):600,000円(社会保険料控除後の手取り:463,284円)
- 法人負担社会保険料:312,048円
- 法人所得: 2,700,000 – (600,000 + 1,200,000 + 600,000 + 312,048) = ▲12,048円
- 法人税(均等割):70,000円
2. 個人の社会保険料(年額、協会けんぽ・厚生年金)
- atabows(標準報酬月額 98,000円、等級5)
- 健康保険料(11.29%):月額 11,064円(個人負担 5,532円 / 会社負担 5,532円)
- 子供・子育て支援金(0.23%):月額225円(個人負担 112円 / 会社負担 112円)
- 厚生年金保険料(18.3%):月額 17,934円(個人負担 8,967円 / 会社負担 8,967円)
- 個人負担分の年間合計:(5,532 + 112 + 8,967) x 12ヶ月 = 175,332円/年
- ginko
- 136,716円
3. 個人所得税・住民税(給与所得分)
- atabows(給与収入 120万円)
- ginko(給与収入 60万円。バイト代と合わせて年間130万円以下※3)
- 控除額以内のため、所得税・住民税ともに完全非課税(0円)
注)※3:所得税の非課税ラインは160万円(基礎控除95万、給与所得控除65万)、社会保険料の被扶養者認定基準は130万円以内
4. 個人口座のFX所得税・住民税(申告分離課税)
- 10%再投資分を差し引いた、実質的な課税対象額:年 5,743,200円※4,5
- 一律 20.315% の申告分離課税を適用
- FX税金合計:5,743,200 x 20.315% = 1,166,731円/年
注)※4:(スワップ系:14,000,000円 x 90% x 3.6% + リピート系(FX):1,000,000円 x 2.5%)x 12ヶ月 = 5,743,200円
※5:何故スワップ系は10%再投資分を差し引いて良いか? スワップ系で取引しているヒロセ通商およびセントラル短資は、建玉を決済するまで、若しくはスワップ振替をするまではスワップポイントは課税対象とならないため、再投資分は振替をすることなく再投資できるため。
5. 国保税引き後の手取り
- 法人報酬手取り:1,024,668円 + 463,284円 = 1,487,952円
- 個人FX手取り:5,713,200円※6 – 1,166,731円 = 4,546,469円
- 合計の収入:6,034,421円(502,868円/月)
注)※6:再投資分10%を引いた手元に残る残金:(スワップ系:14,000,000円 x 3.6% + リピート系(FX):1,000,000円 x 2.5%)x 90% x 12ヶ月 = 5,713,200円
試算結果(ケース②:すべて個人口座で運用する場合)
つぎに、すべての収益を個人口座で運用する場合です。この場合、国民年金と国民健康保険(夫婦2人分) がフルでのしかかります。
試算結果
1. 個人口座のFX所得税・住民税(申告分離課税)
- 課税対象額:年 8,443,200円※6
- 一律 20.315% の申告分離課税を適用
- FX税金合計:8,443,200円 x 20.315% = 1,715,236円/年
注)※6:(スワップ系:14,000,000円 x 90% x 3.6% + リピート系(FX):1,000,000円 x 2.5% + リピート系(CFD):9,000,000円 x 2.5%)x 12ヶ月 = 8,443,200円。※5のとおり、スワップ系の再投資分(90%)は課税対象外
2. 国民健康保険税
- 分離課税の所得が「総所得金額等」に算入される
- 基礎控除(43万円)を差し引いた国保算定所得は 8,013,200円 となり、所得割(約10〜12%)を適用すると各自治体の国保賦課限度額(年間上限:約1,130,000円)に到達
3. 国民年金保険料
- 夫婦2人がそれぞれ「第1号被保険者」として個別に全額納付義務が発生
- 年金保険料合計:月額 18,290円(想定値) x 2人 x 12ヶ月 = 438,960円/年
4. 国保税引き後の手取り
- スワップ系現金化分:14,000,000円 x 90%(10%再投資) x 3.6% x 12ヶ月 = 5,443,200円
- リピート系現金化分:(1,000,000円 + 9,000,000円)x 90%(10%再投資) x 2.5% x 12ヶ月 = 2,700,000円
- 小計(現金化分):5,443,200円 + 2,700,000円 = 8,143,200円
- 小計(控除分):1,715,236円 + 1,130,000円 + 438,960円 = 3,284,196円
- 合計の手取り:4,859,004円 =(404,917円/月)※7
注)※7:8,143,200円 – 3,284,196円 = 4,859,004円
試算結果(ケース③:すべて個人口座で運用する場合、且つ手取り収入50万円を達成するには?)
つぎに、おなじく、すべての収益を個人口座で運用する場合で、且つ手取り収入50万円を達成するのに必要な資金を計算します。
試算結果
1. 国民健康保険税
- 各自治体の国保賦課限度額(年間上限:約1,130,000円)を適用
2. 国民年金保険料
- 夫婦2人がそれぞれ「第1号被保険者」として個別に全額納付義務が発生
- 年金保険料合計:月額 18,290円(想定値) x 2人 x 12ヶ月 = 438,960円/年
3. 必要資産額
- 総資産に対する収益率:3%/月
- 収益に対する再投資率:10%
- 必要資産額:約2,950万円※6
注)※6:必要資産額(X)x 3% x 12ヶ月 x(90% – 20.315%)-(1,130,000円 + 438,960円)= 6,000,000円。X=30,171,326円。スワップ運用益も(再投資分も含めて)全て税金が掛かると仮定。
4. 国保税引き後の手取り収入
- 合計の収入:6,000,000円(500,000円/月)
おわりに
シミュレーションをしてみて改めて痛感しましたが、知識があるかないかだけでxFIRE後の生活水準にはこれほどまでの劇的な差が生まれます。今回の結果を踏まえて、目指す姿が見えてきました。
また、支出の最適化はもちろん重要です。しかし何より、この「自分の会社」という箱を使ってこれからどんな楽しいことをやっていこうか、夫婦でワクワクしながら準備を進められることが一番の価値かもしれません。
次回は、合同会社を設立する際の準備や、検討事項について整理したいと思います。
~皆さんが、毎日心穏やかに楽しく暮らせますように~


